超短編ストーリー 第11話 再会

2020年5月6日超短編ストーリー,執筆作品

ともに断崖絶壁の上に位置するA地点とB地点。

行き交うには、唯一架かっているその橋を渡るしか方法は無かった。

見るからに古そうで頼りない、その細い橋を…。


ある日の午後、スロースとラクゥは3日ぶりに橋の上で会った。

スロースとラクゥは歳が同じせいか、仲が良かった。

少し橋の上で近況を伝え合い、

「それじゃまたな!」と再会を約束し、お互いの進む向こう側へ行こうとする。

スロースは、ラクゥがあまりこの橋を得意としていない事を知っていた。

自分は動かず、ラクゥに向こう側へ行くよう促したが、ラクゥは案の定、すれ違い様スロースの足に自分の足を引っかけ、転びそうになった。


スロースは咄嗟の判断で腕を伸ばした。危機一髪。

しかしお互い安心したのも束の間、橋は重みで傾き、揺れた。


橋の傾きを戻すには、どちらかが落ちるしかない事を、お互い知っていた。

ラクゥは平然と言った。

「いいよ、手を離して。俺のせいでこうなったんだから」

「何言ってるんだ!諦めるな!」

「いいんだ、でもきっとまたすぐ会えるさ」


どうにか助けようとするスロースだったが、体力が尽きたか、その時は来てしまった。
「ラクゥ!!」


ラクゥは落ちていった…。



4日後、スロースとラクゥは橋の上で再会し、何事も無かったかのように近況を伝え合う。
ラクゥが大怪我はおろか、かすり傷の一つも負っていないのにも拘らず、スロースは驚く様子が全く無かった。

そりゃそうだ。

どんな高い所から落ちたって蟻は死なないのだ。

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