超短編ストーリー 第14話 ロックなステージング

2020年5月10日超短編ストーリー,執筆作品

あるところに練習に余念がないロックバンドのギター&ボーカリストのケイタという十代の男がいた。

基本的にギターを構えてコード(和音)を鳴らし、歌も歌うバンドマンの事である。
勿論歌とギターの練習はするのだが、彼はステージパフォーマンス(ステージング)を重視しており、それだけの個人練習にも余念が無かった。上手いだけのボーカルやギターはごまんといるが、ステージパフォーマンスは技量や容姿と同じ位重要だと考えているのである。

ケイタは具体的に次のような動きの練習を意識的にしていた。

【適度なタイミングで足を大きく開いてギターを弾く】
基本中の基本だが適度にやることが大事だ。ケイタはギターだけ弾いてる時の姿勢をこの形とした。「ジャカジャーン!!」

ずっと足開きっぱなしでは客は観ててすぐ飽きる。そのために他の様々なパフォーマンスがある。


【腕を天に向かって拳を突き上げた状態で静止する】
例えば初めてバンドを組んで1回目のライブでこれが出来る人はある意味『伸びしろがある』と言える。人前で腕を自分の頭より上に向け、静止続ける事は普通に生活していれば殆どすることはない。その姿勢の維持はただでさえ疲れる作業であり、人前でこれをした事が無い人がやるにはそれなりのストレスを伴う。ライブで一度勇気を出して客に向かってやってみれば出来るようになる(というか癖になる)のだが、その一回目がとても緊張する。下手に中途半端にやったら目も当てられない程『ダサい』ので一発勝負的なところでもある。尚自己顕示欲がある男にとってはそれほど苦ではない。自己掲示浴はこういう面では役に立つ。尚拳は人差し指のみに置き換え可能である。

ケイタはなんなく人差し指を天に向ける。


【ジャンプする】
これは思いっきりやるか、やらないかの2択になる。中途半端のジャンプは『ダサすぎる』のでやらない方が良いのだ。勿論飛んでる時膝は曲げること。

ケイタは大きく飛んだ。近くの何かが足に当たった。

ステージングメニュー4つ目に差し掛かろうとしていたら…

ケイタ!あんたテーブルの上で何やってんの!
ケイタは顔を真赤にしながらそそくさとテーブルを降りた。


さらにその一部始終をみていたバンドの神は言った。

「真面目だな。微笑ましいというべきか。でも残念。最後あそこで真っ赤になってやめなけりゃロックだったのに。次行こう…」
バンドの神は見放した。

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