超短編ストーリー 第17話 広告

2020年5月12日超短編ストーリー,執筆作品

青年は寝る前の30分をネット閲覧を楽しむ時間に費やしていた。
なかなか眠れなくなってしまうという理由から、ベッドの中ではスマートフォンやタブレットは使わない為、机の上でノートPCの画面を観ていた。

彼は小説投稿サイトが好きで、とりわけ連載ものかすぐ読み終わる短編集などが都合が良かった。

サイトに広告が当たり前だが、青年は広告の多いサイトを見る度、「どうせアフィリ」と不快感を抱く人種だった。

閲覧していると、すぐにバナー広告らしきものに遭遇した。

【あなたはどちらを選びますか?】

太めの明朝体で書かれており、その下に白い箱と真っ赤な箱の実写の様な画像が入っている。
各々の画像の下には同じ様に明朝体で「白い箱」、「黒い箱」と書かれていた。
どちらも綺麗なリボンを用いたラッピングデザインだった。

「は?黒くないし。赤だし。」

と思いつつ、そのバナー広告の上にマウスを置き、いつものようにリンク先URLを確かめた。リンク先をみればアフィリかどうか一目瞭然だからだ。ドメイン名で終わるURLだったので、直接商品購入へ促す広告でない事は分かった。

ブラウザでsite:の続きにこのURLを打ち込んでみたが、件数が0だった。
「作ったばかりのサイト?中身が気になる。」

興味本位でバナーをクリックしてページが表示される。

ページにサイトロゴは無く、さっきのバナーがそのまま大きくなったように、画面中央に白い箱と赤い箱が表示されていた。

しかしその画像の下には、やはり「黒い箱」と書かれていた。

「だから赤だって!!」

赤い箱をクリックしてみたら、否応なく購入ページへ飛ばされた。
どこの会社が運営してるかとかどこにも書いてなくあやしいサイトであることは確かだったのだが、別に金銭的ダメージにもならない金額である事に気づき浅はかな思考が動き始めていた。

気になるのは赤か黒だった。もはや赤か黒かだけの問題で中身などどうでもよくなっていた。
はっきりさせたい気持ちと安い金額で別に損しても良いという思いが購入ボタンを押させた。

購入ページにて、色選択で「黒」を選び、要望・備考欄に「画像は赤に見えるがな!」と書いて購入決定を押し、送信した。

それから2日後、小包が届いた。配送元は個人であった。
中身は赤い色の箱だった。青年はそれで満足した。

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