超短編ストーリー 第21話 人情

2020年5月14日超短編ストーリー,執筆作品

その青年は、気の利く男だった。

会社の帰り。青年が駅のエスカレーターが上がりきったところで、乗りたい電車が止まっているのが見えたが満員電車だった。たぶん無理すれば乗れたのだが、発車のメロディーが流れていたし、もうドアが閉まるって時に入ろうとしたら迷惑だと思ったので青年は乗らなかった。

気配りが出来る男、大人の余裕。

発車のメロディーが流れ終わったが、すぐにドアは閉まらなかった。そこへエスカレーターを駆け足で登ってきた男が急いで電車に乗った。

青年は表情は変えずに、小声で言った。
「腹立つ…」

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