超短編ストーリー 第26話 間違った使い方

2020年5月19日超短編ストーリー,執筆作品

毎日就寝前30分をネット閲覧で楽しむ青年が、穴埋め式の漢字クイズの問題をたまたま見た時のお話。

中学生の問題なのでそう難しいものではなかった。
Q:○部分を埋めなさい(同じ漢字が入ります)
 ○脱、秀○

「『逸』だろ」。

即答した青年は、2つの意味は分かっているつもりだったが敢えてネット検索してみた。

  • 逸脱:本筋からそれること。あやまって抜かし落とすこと、抜けること。
  • 秀逸:他にぬきんでてすぐれていること。

予想通りの意味だったので何も疑問点が無かったが、検索時に上位表示されたサイトの文言がどうも気になった。
要約するとこうだ。
「逸脱は褒め言葉ではないので間違った使い方に注意すること。そのようなニュアンスの褒め言葉は『抜群』、『卓抜』、『並外れた』、『桁違い』を使うべし。」

青年はそのサイトが言う、間違った使い方については理解出来たが、どうでも良い部分で間違った誤字を見つけてしまった。凡ミスの誤字。ここぞとばかりに持論を入力し初めた。

「仰っている意味は分かります。が、時代の変化とともに本来の意味と異なる使い方になる事はよくある事です。得に場合によっては故意に間違った使い方をする事もあります。

貴方は何かに没頭してこれは極めたと思った事、ありますか?私はそれをやり通した時、こう思いました。『抜群』だの『並外れた』だの『桁違い』等のありふれた言葉で片付かせて貰いたくないと。つまり、普通じゃ駄目、他人からしたら馬鹿にみえるくらいじゃなきゃという。そういう意味で忖度して、秀逸以上のニュアンスで褒め言葉として敢えて間違った使い方をしている場合もあると思いますよ。特に今回の逸脱という言葉に関しては。個人的に最近ムカつくのは間違った『忖度』の使い方で話しているのを聞くことですね。

最後に、気になった部分があります。日本語をしっかり使いましょうと書いてあるサイトで入力ミスにも気付かないで公開している事にとても違和感があります。訂正しましょう。」

青年は気が済んだのでPCを閉じ、寝た。

翌日、サイト管理者はコメントを読んだ。
「長!そしてムカつくわこいつ…」
コメントは非承認扱いされ、誰にも読まれる事は無かった。
ただ、誤字はその日に訂正されていた。

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