日常幸せストーリー 第1話 トイレットペーパー

2020年4月27日日常幸せストーリー,執筆作品

「トイレットペーパー、かさばるので毎月配送してもらってるんですよ。なのに先週も今週も届かなくて今不安になってます」

同僚のTさんの言葉に私も不安になっていた。

マスクは繰り返し洗って使えるがトイレットペーパーはなくなったら本当に困る。

仕事を終えて帰りの電車の中でも頭の中はトイレットペーパーのことでいっぱい。

電車を降りてからもスーパーや薬局に目がとまる

いつも行っているスーバーや薬局は今日も売り切れだった。

ふと、普段はあまり通らない細い路地にある薬局のことが頭に浮かんだ。

あそこならあるかも!


「あったー!」
トイレットペーパーがひとつだけ残っていた。

私が手を伸ばそうとしたその時、横から他の手が伸びてそれを手にする。

(あっ・・・)

年配の女性であった。

「あぁ、柄入りだなぁ。ピンク色かぁ、うーん」

女性は手にしたものの迷っている様子。

その横にあとからやってきた年配の男性が女性に話しかけた。

「要らないよっ!」

「【本当に必要な人】に譲りなさい。あなた、要る?」

男性は優しくトイレットペーパーを私に手渡してくれた。

私は驚き感謝の言葉を伝え、何度も頭を下げてレジに向かった。


混沌とした世の中だけれど、優しい世界はある。
優しい世界にふさわしい人間でありたい。

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