日常幸せストーリー 第12話 好感
昨日の気分転換にと古着屋巡りをしていた。
私の住んでいる街は古着屋がたくさん並ぶ商店街がある。
商店街の一番奥のビルに目が止まる。
一階がパン屋、二階が美容室、三階が不動産屋になっていた。
「三階に行ってみるか」
前回のトラウマがあるが、門前払い覚悟で扉を開いた。
「いらっしゃいませ!どうぞおかけになって下さい。」
ポニーテールのハキハキした可愛らしい女性と眼鏡の奥から覗く優しい目をした男性にニコニコと感じよく出迎えられた。
今住んでいる風呂なしアパートの大家の娘から取り壊しの為に立ち退きを言い渡された事、突っかかる言動があったため区政相談課にいって弁護士に相談して指示に従ったが逆ギレされて話にならなかった事、亡くなった大家は娘と違い、とても良い人だった事、不動産屋2軒回ったが冷たく門前払いされた事、等々話した。
私が話している間、二人は黙って話を聞いてくれた。
「すみません。長々と話しすぎました。」
「いえいえ。そんなところ早く引っ越してスッキリさせましょう!遠慮なく沢山条件を出して下さい!私が必ず満足する物件を見つけます!探せばあります!」
ポニーテールの女性がハキハキと私の目を見て言った。
「うちはね、たくさんの不動産屋と取引がありますから。」
眼鏡をかけた男性が余裕の笑みを浮かべながら答えた。
「ありがとうございます!引っ越し資金もこれしかなくて」
気がついたら持っていた通帳の残高を見せていた。
「大丈夫です!」
お二人の温かい対応にホッとした。
「すみません。当店の営業時間は19時まででして後日、また来店して頂けますか?」
時計を見たら19時を過ぎていた。
「あぁ、すみません。明日休みなので早い時間に来ます。よろしくお願いします!」
階段を降りて外をでたら暗くなっていた。
昨日とは全然感触が違い、浮かれ気分で行きつけのbarに向かった。
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