超短編ストーリー 第37話 サマーキャンプ

超短編ストーリー,執筆作品

都心部から離れたそのキャンプ場にも今年もサマーキャンプシーズンがやってきた。

15歳のジェニーとアルバートはご近所同士の幼馴染だ。その町では16歳からを大人として扱うのだが、15歳の段階で責任を経験するために自らの掟を課す習わしがあった。夏休みが終わるまでに掟を決めなければならなかった。

「もう掟決めた?」
ジェニーはアルバートに聞いた。

「僕は、父親と同じで…【気持ちに正直に生きる】にしたよ」
アルバートの父親は、仕事帰りの夜道に2人組の刃物を持った酔っぱらいに絡まれていた婦人を助けようとして刺されて亡くなったのだった。ジェニーはその話を幼少の頃に母親から聞いていて知っていたので、その意味を理解できた。

「ジェニーは決めた?」
「うん、アルバートとは全然違うんだけれど、誰とも恋に落ちないにした」
ジェニーは自分の容姿が嫌いだった。そして好きな人が出来てもきっと報われる事が無いのだろうと思っているので、一般的な年頃の女の子としては酷でしょう?と思える掟にした。
「そっか」
アルバートは優しく返した。

ジェニーの両親が営んでいるキャンプ場へ高校生達がやって来た。ジェニーは11歳を過ぎてから手伝いをしている。ジェニーは都会の同年齢位の子達が来るのは流行りの服装などが分かるのでそれはそれで楽しみであった。

高校生の男の子達の間でたちまち、【キャンプ場の娘がキュートだ】という噂がたち、なにかに付けてジェニーに話しかけてくる。そう、実はジェニーは一般的に見ても、とてもキュートな容姿だったのだ。しかし昔から自信の無いジェニーはこれまでその事実を知る由も無かった。
「君、ボーイフレンドはいるの?」
「いないわ。」
「あとで待ち合わせできる?」
「無理ね。」
どんなにクールな男の子がやってきても、自分の容姿の事を考えるとからかわれているだけ、煩わしいと感じたのだが、最後に絡んできた男の子の「君都会だったらモテるぜ?もう少し自分に素直になったほうがいい」という言葉が妙に心に残った。

ジェニーは最後に言われた事について、それがその男の子の本心だったと思うかアルバートに聞いてみた。

アルバートは今まで見せたことのない真剣な表情で言った。
「こんなのが人の為とは言えないだろうけど、教えてあげる。都会だったら、君はモテると思う。君が僕の事を好きと言ってくれた時、僕は照れて応えられなかっただけでなく、本当はそのままでは遠くへ行ってしまうと思って、君が自分に自信を持たないようにと、不細工と言ったんだ。ごめん。ずっと僕は好きだった。」

その後30秒程の沈黙の後、ジェニーは言った。
「掟、考え直してもいいよね?」

アルバートは答えた。
「そうしてくれたら嬉しい」

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