超短編ストーリー 第41話 雪

超短編ストーリー,執筆作品

二月。池のある市営公園。

その若者のカップルがやって来たのは午前十一時位だった。その公園を観光する者はまだ居らず、前日まで雪が沢山降り、積もったままで辺りは足跡一つない雪景色であった。

彼氏の性格は一言でいうと【やんちゃ】でそこに雪があるならばまずやることとしては、丸めて彼女の服にぶつけてることだった。

「くらえ!」

(バシッ)

「もぉー!!」

「あはははは!!」

彼のやることなす事はいつも子供かと突っ込みたくなる内容だが、彼女がお姉さんタイプである為にカップルとしての均衡がとれていて、よく言われる【バカップル】にならずに済んでいた。そして意地悪そうにみえる彼氏だが、さっと払えば雪がとれる程度だし、顔には決して当てない。万が一当たりどころが悪く鼻血でも出したら大変だ。彼は雪の季節になると偶に、小学生の頃チーム戦で雪合戦をした際、友達の顔に当てて鼻血を出させてしまい唖然としたのを思い出すのだ。その丸めた雪は硬すぎた。

「向こうの自動販売機で珈琲でも買って飲もう」

「うん」

部分的に水面が凍っている池の横を歩く。

「綺麗だね」

「私?」

「ちがうよ、池の水面が!」

「ムー!でも確かに綺麗ね」

「あはははは!俺買ってきてあげる!何が良い?」

「じゃぁココアお願いします!」

「こないだ飲んだやつね。はいよー!そこから行こーっと!」

「あ!その辺り道がみえなくなってるから気をつけてね!」

彼女はそういうと、彼は応えた。

「道?道がみえない?道というものは、自分で切り開くものだよ、そうは思わないかね?」

足跡のない雪の上をさっそうと進んでいく彼を後ろから見ていると、彼女には文字通り道を切り開いているようにみえた。彼が雪で境目がわからない池に片足を突っ込むまでは。

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