超短編ストーリー 第42話 壁

超短編ストーリー,執筆作品

この宇宙を司る者はずっと宇宙を見下ろしていたが、あるとき「慈悲と壁の具体化」という念を掌に作り、息を吹きかけた。
飛ばされた念は星々に届き、この辺境の惑星、地球にも降りそそぐ。
その宇宙を【司る者】の念は、宇宙の歯車からみたら短い期間で定着し、その惑星の住人に溶け込む。

生きている限り人は様々な壁に遭遇する。そしてその壮絶さは経験する当人でないと理解できないものだ。
念に含まれていた慈悲とは、あまりに壮絶なケースの数々を観て、観ていられなくなった【司る者】が自分のパワーを代償に望まざる人生の壁から守護し、壁の具体化とは人生の壁と異なる実際の壁を人の前に置くというものだった。

対象はその星を支配する生物のみであった。
横幅は約2メートルくらい。高さは壮絶さを表す。色はひとにより様々。
壁は道路にあるものと同じ様に固く、触れることができるものだったが、自分が歩くとあとからついてくるし、狭いところはそれなりに形や硬さを変える。
まぁその他詳細は次の機会に…。

この壁を趣味で研究している青年があった。友人は今まで青年自体の壁をみることが無く、不思議がっていた。
「どうして君にはいつも壁がないんだい?」
青年は応える
「みんな出来た壁を乗り越えようとするが違うんだなぁ。ヒントは壁。壁にも裏表あるだろう?【壁】が心とリンクしていることは容易にわかる。ならばと壁が立たないように泥沼を心に敷き詰めてやったよ。」

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