超短編ストーリー 第44話 1階の住人(前編)
俺はあるアパートの、103号室に住んでいた。
アパートの一階はデメリットだらけという話をたまに耳にするが、
彼はそれほど「1階ならではの悩み」に遭遇することはなかった。
日が当たりにくい件に関しては隣の敷地に何も無く影にもならず、日が出ていれば光を受けられる。
布団は敷地の仕切りを使っても文句は言われないので仕切りのフェンスを利用できる。
防犯性はどうなのかと言われたら、狙われるような事になれば高級住宅の防犯システムでなければどこでも同じだろうと思っている。
ただ警戒心は大事で、その一環として、彼は知らない人だろうが人に優しくをずっと続けている。
善良の人であれば事件に巻き込まれる確率は少しは下がるという考えもある。あくまでも少しは、だ。
1階は湿気が溜まりやすいという。これは当たっている。
おそらく住み始めてからずっと意識して綺麗にしていないと即、カビが発生するだろう。
一番意識する点は、ここかもしれない。
逆に2,3ヶ月住んでいる人の部屋を見せてもらえたとして、カビがなかったらとても尊敬できる。
彼の場合はその点に関しては意識が低かった。
彼が住み始めた時、偶然にも隣と上に住人が無かった。
ここ最近で越してきてどちらも埋まってしまったが、2階からの騒音などが全くない。
明かりがついてかろうじて住んでいることが分かる程度だった。
べつに物音たてられても気にならないのだが。
ゴミ出しは楽だし、今の所ほとんど不便を感じていない。
まぁたまに部屋の窓にヤモリがはりついてるけど、カワイイもんさ。
住んで一年、部屋に入ってきたのは2回だったかな。
ゴキブリやカメムシだったらぶち殺しますけどね。
おっと、ストーリーになっていないな。ストーリーは後半で。
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