日常幸せストーリー 第20話 きづき

2020年5月26日日常幸せストーリー,執筆作品

「こんにちは~」
仕事を終えて電車に乗り最寄り駅から徒歩13分のアパートの門をくぐったところで同じ敷地内のアパートに住む湯川さんににこやかに挨拶された。私の仕事は朝7時から15時までだから帰宅しても空はまだ明るい。
帰りに習い事にも行けるし猫を病院にも連れていける。満員電車とも無縁の恵まれた生活だ。人間関係さえよければ…。
「お仕事の帰り?」
「はい」
「健康で働けるのは幸せよ~」
「そうですね~」
「私は学校を卒業してすぐに親が決めた人と結婚したから主人が定年するまで外で働いた事が無いの。知り合いの人から仕事を手伝ってくれって言われてね。主人に相談したら、役に立たないから断れ!と言われたから断ったの。そしたらその人、お願いだから手伝ってくれよー。人がいなくて俺休めないんだって言うから無償で手伝うことにしたの。私は他の人より一時間早く職場に行ってとにかく一生懸命、働いた。色々な人がいた。サボる人もいたし意地悪な人もいた。私は一生懸命働くって決めたから目の前の事に集中した。働くって大変よね。主人と息子は毎日大変な思いをして働いているんだなって尊敬したの。職場の上の人から今までこんなに一生懸命働いてくれる人はいなかったって褒められてね。すごく嬉しかったわ!無償でいいって言ったのにお給料も貰えて、ボーナスまで貰えてねぇ。毎日が楽しかった。60歳から83歳まで働いたのよ。病気になってしまって働けなくなったけど、意地悪な人とも最後には仲良くなれた。はい。そうですね。って接していたらね。だから世の中には悪い人なんていないの。」

湯川さんの話を聞いてハッとした。
私は大事なことに気がついていなかったと。

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