日常幸せストーリー 第28話 子猫⑧

日常幸せストーリー,執筆作品

「ねぇー、他に名前考えてないのー?」
彦松の飼い主のご夫人の問いに
「彦左衛門とか?」
とウケ狙いで答えたが真面目に
「そんな歌舞伎みたいのじゃなくて、もっと可愛い名前?」
と問われ、ドキドキしながら
「夢二は?」
と答えると
「夢ちゃん!いいじゃない!」
と少女のような無邪気な笑顔で答えてくれてホッとした。
「夢ちゃんにしましょうー」
そう言って、たった今、彦松から夢二に改名された子猫をご夫人は愛おしそうに撫でる。
ここは愛犬家が集う喫茶店でワンちゃん同伴のお客もいる。愛犬家を謳っている店だがオーナー夫婦は猫も飼っていた。夢二をうちに迎え入れるのは来月だが、地方出張から帰ってくるたびにこちらの喫茶店でご夫人と待ち合わせして子猫に合わせてもらうことにした。
「あなた、猫飼ったことないのよねー。主人が心配してるわ。」
そう思うのも無理はないだろう。飼いたいと申し出てから仕事の都合で1ヶ月後に子猫を受け取るのだから。
「私、ここで働いています!」
少しでも信頼してもらうために名刺を渡した。

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